社長ブログ
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情報を保存する意味が変わった
こんにちは!鈴木です。
社内事にはなりますが、今年は当社が大きく変わる年になりそうです。
先日、当社のコーポレートサイトが新しくなり、あと数ヶ月で主力商品である『連合隊』と『ラルズマネージャー』のフルリニューアルが完了し、夏には書籍が出版され、年末には連合隊の新しいテレビCMが放映される予定です。
私自身もここ最近はずっとバタバタしており、プレジデント社に通いながら書籍内容の打ち合わせ(予定より遅れています…)、電通さんとのCM制作打ち合わせ、社内評価制度の確立や各部署の採用面接、そしてマーケやプロダクト等の日々のミーティング。
「どうにか業務効率を上げないと…」と思っていた矢先に、社員が作ってくれたのが「社長AI」でした。
社長AIは、私の過去の原稿、セミナーやインタビューの音声データ、そして私が過去に勉強したビジネス書のタイトルまでAIに学習させた、いわば“私のコピー”のような存在です。
社長AIに質問すれば、私の過去の発表内容や、これまで学んだ経営論などを的確に拾って、社長っぽく返答してくれます。Chat GPTで作っているので、一般知識の補足までしてくれます。
「社長AIに相談したら、面白いヒントをもらえました」と言ってきたスタッフもいて、なんだか不思議な気持ちになりました。

社内のAI活用としては、もう一つ、大きな変化がありました。それが、「Google NotebookLM」の活用です。このAIの最大の特徴は、こちらが読み込ませたデータ“だけ”を参考に回答するという点です。インターネット上に公開されている外部のデータは一切拾いません。
「え?だったらChatGPTの方がよくない?」と思うかもしれませんが、そうともいえません。NotebookLMは、社内AIとして使うのに優れているからです。具体的な活用例としては、就業規則や社内ルールを読み込ませれば、総務部の代わりに新入社員の質問に答えてくれますし、会議の録音データを読み込ませれば、自動で議事録を取ってくれます。
これまでの顧客対応履歴を読み込ませれば、面談前にお客様の課題を整理してくれるため、準備の質が格段に向上します。お客様のご要望やご不満を抽出して企画チームに渡せば、商品開発や改善のヒントになります。
これまでも、社内でノウハウを共有するために様々な情報を保存していたのですが、その量が膨大になると、結局、どこを見ればいいのかわからず、社員が有効活用できていませんでした。

NotebookLMがあれば、社員は何百ページもあるマニュアルを読んだり様々なデータを分析しなくても、チャットで質問するだけですぐに必要な情報を得ることができます。
社内AIと、膨大な社内情報。この両者はあまりにも相性が良く、運命的な出会いといえるでしょう。まさに、今まで貯めてきたデータが報われた瞬間でした。
社内AIの登場によって、「情報を保存する」ことの意味も変わってきたように思います。かつては「人に見てもらうため」に保存することが主でしたが、今は「AIに覚えてもらうため」に保存するという発想に変化しています。
実際、社内のミーティングに出ていると、「今回の会議の音声データ、AIに読み込ませておきますね」といった声がよく飛び交っています。
私自身も最近は、会議で発言する際、「現在の課題は3つあります。1つ目は…」など、主題を明確にし、滑舌よく話すよう心がけています。AIがあとから音声の内容を認識し分析しやすくするためです。
「自分(自社)の状況やスタンスを理解してもらう」ことは、人との対話だけでなく、AIとの対話でも同様に重要です。背景をきちんと説明しているかどうかで、指示したあとに出てくるアウトプットの質に天と地ほどの差がつきます。
AIからの提案がなんだかしっくりこないなと感じるとき、それは、AIに対し、こちらの状況を丁寧に説明できていないだけかもしれません。結局のところ、AIに対しても親切心がものをいうのです。
人間はAIの器になるのか?
今回作った社長AIのように、自らの思考や過去の発言、読書からの学びなどを完璧に記憶し、それをもとに最適な形で回答してくれるAIを前にすると、もはや哲学的な疑問さえ浮かんできます。
それは「私とは何か?」という問いです。
鈴木社長よりも鈴木社長っぽさが洗練され、鈴木社長よりも根拠のある論理を展開するもう一人の自分。これを見て、「私という人間は、もしかすると、鈴木社長AIの提案を実行する“器”のような存在でもいいのではないか」と感じることすらあります。
しかし、人が人の言葉に耳を傾けるのは、そこに強い意志があり、その結果に責任を取る覚悟があるからです。AIは、優れた提案はできますが、責任は取れません。
だからこそ、私たち人間が担うべきは、たとえAIが示した選択肢の中から選ぶことが増えても、それを現実世界で実行に導く強い意志と、その結果起こることに対する責任を取る覚悟なのではないかと思います。

先日、私が社員に、「社長AIすごいよ。自分よりすごい」と言ったら、「でも、その社長AIの大きさは、きっと社長の大きさに比例しているんですよね」と言われて、ハッとしました。
自分の思考とまったく関係のない巨大なAIは無数にありますが、自らの考えに基づいた社長AIは、私が学び続け、考えを深め、日々発信しなければ、今以上に大きくなりません。
これからも、お客様、スタッフ、そして自分自身のAIにもたくさん語りかけ、そこから多くを学び、ともに成長していきたいと考えています。

鈴木 太郎
(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、講師職を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2013年同社GM就任。同年、総売上最高値更新。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。
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