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社長のひとりごと2026.06.22NEW

マネジメントスタイルには周期がある

マネジメントスタイルには周期がある

社員数50名でぶつかった壁

こんにちは!鈴木です。
ここ数ヶ月、業務後に東京大学のAI経営講座に通い、ようやく修了証をもらいました。第一線の方々の講義は刺激的で、より実践のイメージが湧きました。

また、予想外にもAIを使うほど自分自身は忙しくなりました。
1タスクの完了スピードは劇的に上がる一方で、こなせる量が増え、AIとのやり取りが頻繁になり、判断と指示の回数が増えたからです(自分のAI設定スキルもまだ未熟です)。

とはいえAI時代では、「現場業務もバリバリこなせる管理者」のような、高い解像度で指示が出せる、いわゆるプレイングマネージャーの価値が上がると予想します。

さて、今回は「マネジメントスタイル」についてのお話です。

「自分が前に出すぎたら社員が育たないのではないか」――そんな迷いを抱えたことがある経営者は、私だけではないはずです。
社長が前線で采配を振るうトップダウン型がいいのか、現場主導で意見を出し合い進めるボトムアップ型がいいのか。

もちろん正解はなく、会社や規模によって最適な形は変わります。ただ、私が見てきた中小企業でいえば、トップダウンで成功している会社が多い印象です。
とくに創業期は、社長が全力で走り回り、力技で案件を取ってきて、圧倒的な成果を上げる。即断即決で物事を動かし、メンバーはそれについていく。これしかないと思います。

ただし、トップダウンで規模を拡大していくと、どこかで必ず壁にぶつかります。
私の場合は、社員数が50名を超えたあたりで限界が来ました。誰が何をどこまでやっているのかを把握しきれなくなったのです。また、「この業務はあの人しかできない・知らない」といった属人化の問題も深刻化しました。

さらに、新人を採用しても育てるための仕組み(研修・マニュアル)が整っておらず、定着する前に辞めてしまう。そんな悪循環も起きました。コストが垂れ流しになる一方で、社員側からは「評価基準をもっと明確にしてほしい」といった、これまでにはなかった要望も出るようになりました。

管理手段、研修、給与・評価制度、法務・コンプライアンス面の強化。これまで感覚で決めてきたものを、客観的な根拠にもとづいて、一から作り直すべき段階に来ていたのです。

マルチタスクには自信があった私も、さすがにパニックに陥りました。そのときの景色は、今でもはっきり覚えています。東京・神谷町のオフィスビルの喫茶店で、買ったばかりの社内制度の本をテーブルに何冊も積み、呆然と天井を見上げながら思いました。

「…これは一人では無理だ」と。
会社のボトルネックが、自分自身だと気付いた瞬間でした。

そこで採用を一旦ストップし、管理職の育成に本気で舵を切りました。
それまでは全部署の会議に出ていましたが、以降は全体会議とマネージャー会議だけに参加。
私は方針だけを決め、現場はマネージャーに任せ、細部には口を出さないようにしました。

最初のうちは物事の進みも遅く、思うように成果も上がらず、イライラしてまた自分が前に出ていきたくなります。
しかしそれを続けると、管理職は育たず、社長は再び目の前の作業に追われ、長期で事業や組織を考える時間がなくなる。結局、この繰り返しにハマりました。

そしてまた、「どのやり方が正解なんだろう…」と迷い始めます。

局面ごとに適したマネジメントがある

試行錯誤の末に私がたどり着いた結論は、「マネジメントスタイルには周期がある」ということです。
振り子のように、状況に応じてトップダウンとボトムアップの間を行き来する。なぜなら、会社に訪れる局面そのものにも周期があるからです。

業績低迷、緊急事態、社運がかかったプロジェクト、技術革新の大転換点――こうした重要局面では、社長の責任と覚悟のもとゴリゴリ進めるしかありません。

当社で言えば、AI革命が起きている今がまさにその時です。社長直轄で「AX推進室」を立ち上げ、AIエージェント協働組織に生まれ変わるべく、私が前線に立って進めています。

逆に、社会の変化が少なく余裕のある局面では、現場に判断を促し、やらせてみる。期待する成果は出なくても、責任感や失敗経験を積ませたほうが、長い目で見て人は育ちます。

もう一つ、当社で重視しているのが「プロセス管理」です。メンバーの目標・進捗・行動がブレなければ、結果はあとからついてくる。なぜなら、自力でコントロールできるのはプロセスだけだからです。

営業でいえば、売上はコントロールできなくても、訪問数やTEL数はコントロールできます。それで結果が出なければ、本人を責めるのではなく上司が立てた戦術を見直す。もし行動が予定通り進んでいなければ、まず本人にその理由を聞き、対策を立てます。

一方で、目標だけ示してあとは本人に任せ、結果だけを見る「成果管理」もあります。

自由度が高く魅力的にも見えますが、メンバーの能力と自己管理力が高くないと機能しません。完全な成果報酬型も多く、うまくいくのは、個々の営業力が強い小規模会社や、プロ意識の高い外資系企業、業務委託などです。

最近、わかってきたことがあります。
「トップダウン→ボトムアップ→トップダウン」と振り子が戻ってきても、それは昔の自社に戻ったわけではありません。マネージャーもメンバーも、以前より確実に経験値が増えているからです。

3歩進んで2歩下がったように見えても、きちんと1歩進んでいる。
振り子が揺れるたびに、社長も社員も、上司も部下も新たな課題を抱えながら、それでも同じ目標に向かい自分ができることをやっていく。その過程にこそ、組織の成長があるのかもしれません。

鈴木 太郎

(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、学習塾の教室運営・講師業を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。2026年、東京大学松尾研究室AI経営講座修了。現在、社内にてAIエージェント協働組織開発を推進。

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