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仕事の本質がすべて詰まった全体会議
あけましておめでとうございます!鈴木です。
今回は、当社が毎週水曜にオンラインで開催している全体会議の構成についてお伝えします。
私は、組織運営において、全国各地の全社員が一堂に集まるこのイベントをかなり重要なものと捉えています。単なる情報共有だけでなく、社員一人ひとりが「組織を俯瞰して物事を考える力」を養える場になるからです。
当社の全体会議は以下の5ステップで進みます。
【①社長発表】
まず私から、会社の未来像や経営課題について発表します。
5年後、10年後といった未来計画を達成するには、乗り越えるべき課題が山積みです。それらを見えるようにし、自分が最近学んだ内容も含め図解資料を提示しています。

私は、経営課題は管理職だけでなく、全社員にわかりやすく共有されるべきだと考えています。
そうしないと、会社という船が嵐に遭ったとき、乗組員である社員が目の前の危機を自分事として捉えられなくなるからです。
リーダーが顔を見せ、全社員に自らの考えを直接伝えることは重要です。
方針が間接的に伝わると誤解が生じやすいですし、内容だけでなく、リーダーの表情や立ち振る舞いからも、社員は多くの物事を感じとります。
とくに社長の場合、普段からの言行一致や行動指針の体現がされていなかったり、公平さ・公正さが欠けていれば、一気に信用を失います。
私自身もそれを肝に銘じ、緊張感を持って臨んでいます。
【②売上進捗発表】
続いて、営業マネージャーが月内の売上進捗を発表します。
これは、売上と無関係な社員は一人もいないという認識を共有するためです。
企業とは、社会の課題を解決する装置です。
そして売上とは、お客様の課題解決の対価、つまり「ありがとう」を数値化したものです。

給与の原資でもある売上は、ただ出勤してパソコンを叩けば生まれるわけではありません。お客様のお困りごとを解消するから生まれるのです。
そのため、どの部署であれ、仕事の本質は「お客様が困っていることを全力で探り、それを解決すること」です。これは商売の原点であり、全社員が正確に理解すべき重要なポイントです。
【③お客様の声の共有】
次に、ここ一週間でお客様からいただいたご要望・ご不満・お褒めの言葉を共有します。
お客様の声は、最も純粋な一次情報であり、ヒントの宝庫です。これを全社員が正面から受け止めることで、顧客主義を徹底させます。
上司の役割は、部下に気を遣わせたり自慢話を聞かせたりすることではなく、常にチームメンバーの視線をお客様に向けさせることにあります。
本来、やりがいや反省は、上司からではなくお客様からいただくものです。
私自身、「連合隊のおかげで物件成約できたよ!ありがとう!」という言葉をいただくときが、最もやりがいを感じる瞬間です。
お客様の声の共有は、組織全体の責任感やモチベーション向上に大きく貢献します。

互いの課題や成果を共有し、横の連携を生み出す
【④各部署の進捗発表】
各部署・各チームがプロジェクトの進捗をプレゼンします。
組織が大きくなると、誰もが「自分の部署が一番大変で人手が足りない」と思いがちで、部署間に軋轢が生じることがあります。
そんなとき、互いの目標や課題を共有することで、助け合いの精神が芽生えます。
また、当社では「情報発信しなければゼロ」という考えを徹底しています。どんな努力も成果も、周囲に認識されなければ、評価のしようもありません。
そのため、日報や全体会議など、誰もが公平に発信できる場を設けています。
私はよく「プレゼン(発信)は、プレゼンス(存在感)」と言っています。個人もチームも、行動に始まり、発信に終わります。
強烈なプレゼンスは、ときに組織そのものを変えます。その熱が周囲に燃え広がるからです。

【⑤他社サービスの良いところ】
週替わりで社員が他社サービスの優れた点を発表します。
「A社製品とB社製品のこの部分が使いやすかったので、両方の良い点を組み合わせれば、新製品ができるかもしれません」といった具合です。
これにより「抽象化・転用」という非常に重要なビジネススキルが磨かれます。
そして何より、社員が自社サービスしか知らないといった「井の中の蛙リスク」を防ぐことができます(意外と多いです)。
社員一人ひとりが他社サービスに目を向けるきっかけ作りが重要なのです。
最後に、事務的なお知らせがあれば伝えます。
全体を通してのポイントは、各発表に対しリーダーが一言でもコメントを出すこと、他部署でもわかる言葉を使うこと、1時間で終えられるよう時間を計ること、重要事項を会議の前半に持ってくることが挙げられます。

全体会議の最大の効果は、社員一人ひとりに「組織を俯瞰して物事を考える力」が身に付くことです。この力は、個々の日常業務だけでは得られません。
経営者を含め、全社員が集まる場で互いの課題や成果を共有し、それぞれの取り組みや苦労を理解し合うことで養われます。
もし、「自分の仕事しか知らない」「他部門は関係ない」という考えの社員ばかりであれば、組織は簡単に崩壊します。
皆が組織を立体視できる想像力を得てこそ、横の連携が生まれ、逆境に強い企業を作ることができるのです。

鈴木 太郎
(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、講師職を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2013年同社GM就任。同年、総売上最高値更新。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。
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