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「自社の説明書」をつくろう

それ、どこ見ればわかりますか?
こんにちは!鈴木です。
先日、休暇中にキャンプに行ったのですが、「すぐそこの草原で3日前に熊が出たばかりだよ」という情報を現地で聞き、心底ビビりました。夜中も、森の方から何かに見られているような、見られていないような…。
さて今回は、「自社の説明書をつくろう」というテーマでお伝えします。
説明書といっても、営業資料や会社パンフレットではありません。会社の軸となる考え方や、各部署の仕事の進め方、製品・サービスの仕様、判断基準など、人の頭の中や社内に散らばっていた情報を、「ここを見ればわかる」という形にまとめたドキュメントや図です。
いわば、社員や外部パートナーのための(社外秘の)説明書です。
いま当社では、この説明書をつくり直しています。お客様の期待やご要望が増え、つくりたいものも増えてきました。社内だけでは人手に限界があり、外の企業や専門家に手伝ってもらう機会も増えています。その中で、自社をわかりやすく伝える手段が不足していることに気づいたからです。
これは、自社だけで完結させてきた副作用でもあります。
社内スタッフ同士なら、「いつものかんじでよろしくね」「わからなければ、ベテランのAさんに聞いてね」で済むことも多く、一見、ラクに思えます。
しかし、これが長年続くとまずいことになります。
「Aさんが長期間離脱しても会社は回るんですか?Aさんのノウハウや判断基準はどこを見ればわかるんですか?」と聞かれても、即答できない。
新入社員や協力先企業から、「この部署の業務リストや、製品・サービスの設計・詳細はどこにありますか?」と聞かれても、誰かが毎回、口頭で説明するしかない。
AIを使う際も、目標や前提をその都度入力しなければならない。
また、社外や初見の人に向けて説明しフィードバックをもらう機会が少なければ、自社のやり方が世の中の「当たり前」からどれだけ離れているのかもわかりません。
独自ルールやその場しのぎの対応が積み重なり、ベテランしか理解できない状態になる。
まさに昔の当社であり、改善に5年以上かかりました。
すべて、「ここを見れば全部書いてありますよ」というものがないことに起因します。
「言わなくてもわかるよね」で済むのは、とてもラクです。
しかし、「説明が要らない組織は、説明できない組織にもなり得る」というリスクも考える必要があります。そして、AI時代ではそれが致命的になるかもしれないのです。

言語化するほど、会社はラクになる
自社のことを文書や数値に残すのは、正直、けっこう大変です。しかし、進めなければ後々もっと大変になります。「自社の説明書」がない会社は、人の力も、企業の力も、そしてAIの力も借りにくくなるからです。
当社では、バックオフィス業務を棚卸しすると、細かい作業も含め250近くありましたが、地道に一つずつ図解マニュアルをつけていきました。
また、(もちろん許可を取り)商談や会議の内容、お客様のご要望もコツコツと数年分溜めてきました。当ブログも、自分の経営に関する考え方を約6年かけて70本以上書いてきたことになります。
その結果、今では取材の事前質問が来ても、AIに「社長の考えから回答例を用意して」と頼めば、すぐ叩き台ができます。
営業マンは商談前にそのお客様に合った提案内容をAIに相談でき、営業マネージャーは部下の商談の改善点をAIと考えられます。
「過去1年で新規契約に至った要因TOP5を出して」といった、全体を俯瞰した分析もできます。
プロダクト開発でも、お客様のお困りごとと当社の仮説を入れると、AIが企画書や試作品(モック)をつくり、競合調査、差別化要素、要件定義、仕様、PR文章まで自動で出します。
これを見れば、社内外のパートナーもプロダクトの全体像がわかり、同じ情報を起点に動けます。
もちろん、業界によって必要な情報は違います。
まずは、社内にどんな仕事があり、どう進めるのかを言葉にするだけでも十分です。
AIとデータは、持ちつ持たれつの関係です。
AIがコックさんなら、データは人参や大根などの素材です。いくら腕が良くても、素材がなければ料理はできません。
逆に、素材が豊富なら、リクエストに応じておいしい料理を作ってくれます。
では、データをどう溜めるのか。大きく二つあります。
一つは、自力で書く方法です。数値はシステムから出せることも多いですが、業務内容や営業トークなどは、気合いを入れてゴリゴリ書いていく。従来の方法です。
もう一つは、日常の行動を記録し、あとからAIにまとめてもらう方法です。
商談、会議、日報、各種システムなど、音声や文字、行動ログを仕事の中で自然に溜めていく。必要なときに、好きな切り口でAIに整理してもらう。
私は、こちらをおすすめします。喋るだけ、いつも通り仕事をするだけでデータが蓄積され、ラクだからです(Zoom等の録音機能や、ペンダント型録音デバイスもあります)。
チリも積もれば山となる、といいますが、この「チリを集める仕組み」があるかないかで、企業にはものすごい差がつくと思います。

「その業務は自分がわかっているし、自分でやったほうが早い」
「とりあえず今のままでも回っているから大丈夫」
こうした理由で、業務やノウハウがドキュメント化されない企業を多く見てきました。
何より、当社自身がそうでした。
誰かの頭の中にしかない知識やノウハウは、承継されず、やがて消えてしまいます。
しかし、言語化しておけば、AIや社内外のパートナーが活用し、発展させることができます。
自社の仕組みや考え方を、見える形にすること。それは、必要なときに、人・企業・AIなど、外の力とすぐにつながれる状態をつくることでもあります。
「自社の説明書」をつくることは、経営のスピードを上げ、新しいビジネスチャンスをつかむために不可欠な準備でもあるのです。

鈴木 太郎
(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、学習塾の教室運営・講師業を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。2026年、東京大学松尾研究室AI経営講座修了。
「人口爆縮時代の中小企業経営」をテーマに、経営者向けセミナーで講師を多数務める。登壇実績に、賃貸住宅業界最大のイベント「賃貸住宅フェア」、宅建協会函館支部、IREM JAPAN北海道支部主催セミナーなど。近日、同テーマの書籍をプレジデント社より出版予定。
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