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新型コロナウイルスが猛威をふるってから、現在までのラルズネットの動きについて、今回、弊社代表取締役社長の鈴木にインタビューを行いました。
すべてのお客様とスタッフに感謝
──新型コロナウイルスが猛威をふるってから、現在までのラルズネットの動きについて、その間に考えたことも含めてお聞かせください。
何をやったのかすぐには思い出せないくらい、とにかくいろんなことをバタバタとやりました。
もしかしたら当社と古くからお付き合いのあるお客様からは、「ラルズさん、なんだか最近、いろいろとバタバタやってるよな」と思われているかもしれません(笑)
コロナショックはすさまじいインパクトで、まさに心身共にハードでしたが、今、フタを開けてみると、上半期だけで見ても、業績、ユーザーデータ(連合隊PV・UU等)ともに、前年比でプラスとなりました。
新規のお客様のお申し込み数も5〜6月だけで普段の4倍近く来たりと、驚いています。サポートセンターもフル稼働し、対応にあたりました。
ここまでなんとか乗り越えることができたのは、当社スタッフのみんながすごいスピードで自主的にいろいろとがんばってくれたおかげです。
また、常日頃から当社サービスをご利用いただいているお客様には、感謝の気持ちしかありません。
ここ数ヶ月でとくに徹底したのは次の2つです。
それは、
①「とにかく情報発信をする」
②「とにかくお客様のためになることをやる」
この2つに、全神経を集中させました。
社内の会議でもこの2つを何度も呼びかけ、みんなで共有しました。

徹底したこと①「とにかく情報発信をする」
①の「とにかく情報発信をする」ことの重要性については、コロナショックの中で、自分がよく利用しているお店を見て気づいたことです。
緊急事態宣言が出されてから、しばらく連絡が来なかったり、情報更新がなかったりといったお店がいくつかあったんです。もちろん、大変な状況なので、それどころではなかったのでしょう。
そのとき、私自身、1ユーザーとして、サービスを利用できるのかどうかわからなくて困ったこともありましたが、それ以上に、心配になったんです。好きなお店だと、なおさら。
「今日はあのお店からメールが届いてるかな…」と思いながら、ちょくちょくメールチェックもしていました。
1ヶ月少し経ったあと、ようやくお店再開のメールが来ていたので、すぐ顔を出したんですが、行ってみると、そのお店のスタッフに元気がなく、事情を聞くと、「これからどういう方針で進めればいいのか、上の人からもまったく連絡がなくて困っているんです」と困惑していました。
このような他社の様子を見て、「危機のときほど、お客様にも、社内にも、とにかくこまめに情報発信しないといけない」と強く思いました。
逆にいえば、危機下においての「沈黙」は、周囲の不安・心配・疑問・混乱など、さらなるマイナスを呼び込んでしまいます。
コロナ禍における「当社は今こういう状態です」「今後、こういう方向性でいきます」という情報は、いわば、大荒れの海での羅針盤のようなものです。
だからこそ、「ウチの会社はこう考えています」という情報を、社内外に何度もしっかり伝え、ハッキリと目に見える形で発信し、すぐに実行していくということが大事だと思いました。
取り急ぎ、当社がいつ、どの媒体で、どんなことを発信したかが自分でもパッとわかるよう、目の前にあるカレンダーに4色ボールペンでガリガリと書き込んでいったりもしました。
アナログであれ何であれ、とにかく情報発信の頻度を、肌感覚で押さえることが大事でした。

徹底したこと②「とにかくお客様のためになることをやる」
──情報発信の重要さがここまで身にしみて実感できたことも、今までなかったかもしれませんね。②の「とにかくお客様のためになることをやる」についても具体的に聞かせてください。
コロナショックの真っ只中で、決断したことがあります。
それは、自社の売上目標を最優先にしないということです。
当社も大変ですが、当社のお客様である不動産会社様も、同じように大変な思いをしているところがたくさんいらっしゃるはずです。
だから、「当社の売上よりもまず、既存のお客様をなんとか応援する術はないだろうか?」ということをスタッフみんなで考えました。
そこで開始したのが、連合隊で使える有料広告オプション「ラルズアド」の広告予算を、希望したお客様にタダで10万円分配るというものでした。
1万円、3万円…など、いろんな意見がありましたが、コロナショックのような非常事態はなかなかないから、もう10万円分配ろうと。
これが、予想をはるかに超える数のお申し込みが入り、配った予算の合計が、ちょっととんでもない額になってしまったのですが…。
それでも、まず、お客様がお金をかけずに自社の反響の確率を上げるには最短かなと思い、実行に踏み切りました。
もちろん、商品をタダで配るようなことをずっと続けていると、会社の存続や社員の生活が成り立たなくなるのでメリハリが大事だと思いますが、少なくともこの期間に限ってはそうしました。

これからの時代を乗り越えられる方法をお客様が自ら身につけられるサポートを
──コロナショックの中で、会社の存続や社員の生活を成り立たせることと、自社の売上のことを考えずお客様のプラスになることをやるというのは、両立するのでしょうか?
当然、数ヶ月、新しい契約がパタリと止まっても、きちんとやっていけるだろうという目処をつけた上で実行しています。
これは、当社のベースとなる事業モデルが、売り切り型ではなく、定額制だからできたということが大きいです。
売り切り型のビジネスをやっている他社の経営者からは、よく、「それって、売上、いくらになるんですか?採算合うんですか?」と言われることがあります。一見、売上に結びついていないことをやると不思議がられるんです。
たしかに、ビジネスをやる以上、すべてのアクションが売上に結びついていないといけないという考えは正しいと思いますが、それでいえば、当社の場合、「お客様に少しでも長くラルズネットとつながりたいと思っていただけること」が最も大事だと考えています。
そのためには、コロナショックのような時代の転換点にあたる時期には、ただ反響の橋渡しをするだけでなく、これからの時代を乗り越えられる方法をお客様が自ら身につけてもらえるようなサポートが重要だと思っています。
──具体的に教えてください。
たとえば、不動産会社様が物件動画を掲載したらスマホ専用ジンバルなどの景品が当たる「動画まつり」というイベントをやりましたが、これは、「まだ物件動画を撮ってアップしたことがない不動産会社様が、最初の1歩を踏み出すきっかけになってくれればいいな」という想いで始めました。
動画表現は、不動産業界においてもますます主流になることは明らかでしたが、コロナ禍でユーザーの在宅時間が増えている今が、どの企業にとっても物件動画を掲載すべきベストタイミングだと思って開催しました。
イベントを終えてみると、とても多くの不動産会社様がたくさんの物件動画を登録してくれていて、すごく嬉しかったです。
次に、連合隊の加盟店様にWEB面談に慣れていただくため、無料で「WEB面談練習会」を実施しました。
今後は、エンドユーザーが家探しの相談をするにあたり、企業側がWEB面談を受け付けているかどうかが、間違いなく重要になってくるからです。
アフターコロナでも「リモートコミュニケーション」(WEB面談)は標準として残る
──WEB面談の重要性について、詳しく聞かせてください。
今、世間ではいわゆる「アフターコロナ」の議論がされていますよね。
「コロナが去った後の世界では、昔のような生活に戻るのか?それともまったく新しい世界になっているのか?」などの話です。
私は、とくに日本に関して言えば、意外なほど、生活の大半はコロナ以前に戻ると思うんです。
変えていかないとリスクが高い立場にある人の数が、変わった方がリスクが高い立場にある人の数を上回らないと、国はすぐには変わらないじゃないですか。
だから、日本の人口ピラミッド上、大きく変わる確率は低いと思うんです。
でも、例外として、年齢・立場関係なく、コロナショックの間に、一度体験してみたら単純に便利だったという類のものは、コロナ後も標準として残ると思います。
人は、一度体験した便利なものを捨てることは、なかなかできないからです。
そして、その最たるものが「リモートコミュニケーション」です。
(※「リモートコミュニケーション」…離れている場所にいる人同士が、「Zoom」などのWEB面談ツールを使って、会議・商談・取材・セミナーなどを行うこと。)

先日、「Zoom」でとあるセミナーに参加したんですが、そこの会場の主催者が、「コロナなので、例外的にオンラインで開きましたが、普段、20人くらいしか集められない部屋なのに、今、画面上には90人近くの人がいます。県をまたいで、いろんな地域の人が来てくれています。今度から、オンラインチケットも販売しようかなと思います」って言ってたんですが、まさに、「考えたら当たり前のことだけど、やってみて、単純に便利さがわかった」という事例だと思うんですね。
やってみて、「あれ、これってかなり便利じゃない?むしろ、どうして今までやってこなかったんだろう」と、頭ではなく、体でわかったということです。
生産性アップは、人口が激減している日本の最大の課題ですので、そういう意味でもリモートコミュニケーションの流れは間違いないと思っています。
ラルズネットでは、そういった「間違いない流れだけど、今、全国の不動産会社様がみんなやっているかといえば、まだそこまでは至っていない」という、いわば半歩先のことを、率先してサポートしていきたいと思っています。
不動産会社様が半歩先の新しいチャレンジをするきっかけを作りたい
──半歩先、というのがポイントですか?
そうですね。2〜3歩先のことはもちろん、1歩先のようなことだって、場合によっては現実的じゃないと思うんです。
たとえば、「VR物件内覧会」みたいなものって、たしかに良いとは思うんですが、VR機器が店舗かユーザーの自宅にないとダメじゃないですか?そういうものって、正直、どこまで一般的に普及するのかなという疑問はあります。
大企業や新鋭企業が話題作りも兼ねてやる分には良いと思うのですが、ラルズネットは、大企業ではなく、地方で少人数でお店を営んでいるような不動産会社様に伴走していくことこそが、自分たちの役割だと思っています。
当社は、見たこともないような斬新なことを提示する敷居の高いIT企業ではなく、街の不動産会社様がふと気軽に相談できるような、地に足がついた会社でありたいんです。

物件動画も、WEB面談も、技術的にはかなり以前からあり、目新しいものではありませんが、では、日本全国、どの会社も当たり前のようにやってるかといえば、まだそうではないはずです。
むしろ、必要性やきっかけがなければ、なかなか始めることもないのではないでしょうか。
だからこそ、ラルズネットは、不動産会社様が、半歩先の新しいことをチャレンジするときのきっかけをどんどん作っていきたいと思っています。
地元の不動産会社様には、当社や当社が開催するイベントを通じて、お祭り気分で、「今までやったことはないけど、ラルズさんもおすすめしてるし、これを機にちょっとチャレンジしてみようかな」と思ってもらえたら嬉しいです。
そして、大げさに言えば、今、国内企業の大きなテーマにもなっている「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を、まずはラルズネットのお客様である不動産会社様だけでも、当社がリードし、なるべく費用がかからない形でサポートしていきたいと思っています。
──今回はありがとうございました。

鈴木 太郎
(株)ラルズネット代表取締役社長。函館市出身。2006年明治大学卒業。宅建士資格を取得し、野村不動産ソリューションズ(株)入社。不動産仲介(法人営業)に携わる。その後、講師職を経て2010年当社入社。営業部にて制作事業の売上を3倍にリード。2013年同社GM就任。同年、総売上最高値更新。2014年同社常務取締役就任。営業、商品企画、経営戦略を担当。2020年から現職。
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